要介護状態区分と就業不能保険(1)

就業不能保険」=「働けなくなった時に支払われる保険」というのは何となくイメージが出来たことだと思います。ではこの「就業不能状態」、一体どの程度の状態、状況を想像されるでしょうか。

就業不能状態が果たして保険金を支払うに値するレベルか否かを判断するのはほとんどの場合、あくまで保険会社です。誰の目にも明らかであるような障害状態は別としても、例えば今までのような肉体労働は難しくなったけれど簡単な検品作業や事務作業が出来る、軽労働なら可能…などといったケースは保険会社によりますが、残念ながら支払いの対象にはなりません。やはりこの辺りが就業不能保険はハードルが高いと言われる所以ですよね。それを踏まえた上で「就業不能状態」の基準を少し検証してみましょう。

まず判断上、一定の目安となるのが「障害等級」や「要介護状態区分」です。国民年金法施行令で定められている障害等級は、細かく1級~14級に区分されています。しかし就業不能保険受給の対象となる程度の障害状態としては、最も重いとされる障害等級1級~2級、拡大されても3級程度まで。等級1級、2級ともなると「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状によって日常生活が出来ない程度のもの、又は日常生活が著しい制限を受けるか著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と定められている通り、文面だけを見てもとても仕事を継続出来る状態ではない、ということが一目瞭然かと思います。

同じく「要介護状態」の定義としては「身体上又は精神上の障害があるために入浴、排泄、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間(原則6ヶ月)にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態」かつ「介護の必要の程度に応じて定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの」と明記されています。要介護状態も障害等級と同様に区分分けがなされているわけですが、その範囲は要介護1~要介護5までの5段階。こちらは障害等級区分とは真逆で、数が大きいほど「深刻な状態」だということになります。要介護認定は市町村の被保険者からの申請に応じて職員との面接、心身の状況、置かれている環境、受けている医療の状況などこれらをトータルで判断され、決定されることになります。

「障害等級」と「要介護区分」、これらは似たような言葉で非常に混同しやすいのですが、大まかに言うと対象者が受けられる給付内容そのものが全く異なります。まず障害年金は金銭給付。障害が原因で仕事を続けられなくなった際に、当事者や家族の生活を補助する役割を果たしてくれます。障害基礎年金は等級1級もしくは2級に該当することが前提で、1級ですと年額780,100円×1.25、2級であれば780,100円の支給。18歳未満の子どもがいる家庭であれば、この金額に子ども1人あたり各々224,500円が加算されます(第3子からは各74,800円)。生活費の補填としては助かりますが勿論これだけでは到底生活していけませんので、やはり傷病手当金の利用や就業不能保険の存在は欠かせないという訳ですね。

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